公益財団法人 東北活性化研究センター

今月の景気ウォッチャー調査

最新の内閣府景気ウォッチャー調査結果についてのレポートを紹介します。

令和6年5月の景気ウォッチャー調査結果(東北分)

表A-東北の現状判断(季節調整値)

表B-東北の先行き判断(季節調整値)

表C-東北の現状判断(原数値)

表D-東北の先行き判断(原数値)

調査結果の概要

1.今月のDI※

季節調整値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性 季節調整値)
現状判断DIは「42.7」と2か月連続で前月を下回った。前月と比較し▲2.0ポイント低下した。

(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性 季節調整値)
先行き判断DIは「46.5」と2か月連続で前月を下回った。前月と比較し▲0.3ポイント低下した。

原数値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性)
現状判断DIは「44.0」と2か月連続で前月を下回った。前月と比較し▲4.3ポイント低下した。

(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性)
先行き判断DIは「47.9」と2か月連続で前月を下回った。前月と比較し▲0.2ポイント低下した。

※DI(Diffusion Index)について…50を基準とし、50を超えると景気が良い方向にあることを示す。

 

2.調査の概要

調査期間 令和6年5月25日~31日
回答者数 176/189名、回答率 93.1% (全国1,824/2,050名、89.0%)

 

3.特徴的と思われる判断理由(ウォッチャーのコメントから抜粋)

(1)現状判断理由

○「良くなっている」
(建設業)
…民間製造系企業の設備投資に伴う受注が順調に推移している。

○「やや良くなっている」
(コンビニ)…除雪費用の支払もようやく終わり、季節的にも来客数は増えている。だが、毎年様々な経費が増加しており常にギリギリの経営である。6月からは電気代が上がる。最低賃金も引き上げることになれば、持ちこたえられないほどの状況である。
(衣料品専門店)…来客数の減少を客単価でカバーしてしのいでいる。
(住関連専門店)…住宅のインテリア販売会では購買量が増えている。円安のなかにあっても需要はある。
(美容室)…美容施術額は前年同月並みに戻っている。さらに、シャンプーやトリートメントなどの美容関連商品に加え、高額美容器具等の販売が好調である。
(金融業)…春の祭りシーズン以降、団体よりも個人の観光、インバウンド需要が目に見えて増加している。しかし、物価上昇に賃上げが追い付いていない状況が肌感覚でも継続しており、消費意欲は高まっていない。

○「変わらない」
(商店街)…修学旅行や観光客が増加傾向にあり来街者数は増加しているが、物価高騰の影響を受けて商店街の売上は横ばいである。
(百貨店)…ゴールデンウィークの来客数は若干減少した。逆に地域の小型店の来客数は伸びていることから、全体的に遠出を避け近場で過ごす人が多かったようである。後半はほぼ前年並みの来客数で推移している。
(スーパー)…商品価格の上昇が止まらず、特に高齢の客の買上点数が落ち込んでいる。商品単価の上昇で売上は良くみえるが、販売量は前期を割る日もある。特売品と見切り品、処分品の動きが顕著に伸びており、利益が取れる商品の動きが鈍いのが現状である。
(通信会社)…物価上昇と実質賃金マイナスの影響か、客はコストを意識するようになっている。
(一般機械器具製造業)…案件は増えつつあり、客先への価格転嫁の交渉を行いながら受注につなげられるよう努力している。景気は3か月前と変わらない。
(輸送業)…売上は少し回復傾向にある。運賃の値上げが徐々に浸透してきたことも要因の1つとみている。ただし、物流量が増えているという実感はない。
(その他非製造業[飲食料品卸売業])…値上げの影響で受注量が減少傾向にある。
(人材派遣会社)…3か月前から継続して求人の動きは鈍く、前年比ではマイナス傾向が続いている。
(職業安定所)…卸売業や小売業、宿泊業飲食サービス業等は新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後に増加した求人数が一巡して減少している。製造業の求人数は増加している。
(学校[専門学校])…就職希望者以上に求人件数が確保できていることから売手市場となっている。しかし、求職学生とのマッチングでみると買手市場となる場合がある。

○「やや悪くなっている」
(一般小売店[医薬品])…売上が非常に悪かった2月と比べて、来客数は横ばいだが、客単価は更に落ちており、今までで最も悪くなりそうである。
(家電量販店)…テレビやパソコン、携帯電話の販売量は前年比では減少しているが、エアコンは好調である。全体的には前年比98%である。
(その他専門店[酒])…ゴールデンウィークの需要があった反動もあり、その後は消費者の節約志向が強くみられる。全体的に動きが少ない状況である。
(観光型旅館)…ゴールデンウィークの来客数はほぼ予定どおりだったが、その後の動きは余り良くない。
(旅行代理店)…4月の販売は新型コロナウイルス感染症発生前及び前年並みで推移していたが、5月以降は鈍化傾向にある。大会などの大きな団体が動いているため、全体の数値は大きく落ち込んでいないが、宿泊費が高騰しており個人旅行に影響が出ることを懸念している。
(タクシー運転手)…5月は前月と比べて買物でタクシーを利用する客が少なく、街中でもタクシーを利用する人がいない。自動車税や固定資産税等の支払を控えているためではないか。
(遊園地)…ゴールデンウィークも天候に恵まれ、コロナ禍からの回復を期待したがそれほどの勢いはなく、来客数は前年に及ばない見通しである。物価上昇が家計に影響していることが要因ではないか。
(競艇場)…いろいろなイベントを行って来場促進を図っているが、なかなか人が集まらない。最近は常連客の来場も減っている。
(設計事務所)…競争入札の落札率が低下しており、受注確保に向け価格競争が厳しくなっている。
(食料品製造業)…来客数は前年比ではそれほど落ち込んでいないものの、客単価の落ち込みが売上に響いている。
(広告代理店)…仕入価格が上昇しているが、値上げ交渉がまとまらず、受注価格に転嫁できない。

○「悪くなっている」
(一般レストラン)
…期待していたゴールデンウィークも来客数はさほど良くなかった。その後の来客数も少なく、景気は悪い。

 

(2)先行き判断理由

○「やや良くなる」
(商店街)…7月に商店街に大型商業施設が開業する予定になっており、オープン当初はにぎわうとみている。
(商店街)…夏に向けてイベント開催が多くなり、人出が見込める。
(乗用車販売店)…生産を停止していた車種の再開や、長期化していた納期の短縮が見込まれるため、購入を考える客が増えるとみている。
(一般レストラン)…暖かくなれば人が外に出てくるため良くなるとみているが、梅雨時期を迎えることや、猛暑予報が出ているため楽観視はできない。
(旅行代理店)…8月の曜日の並びが良く、土日と12日の振替休日、13日から16日のお盆休みを合わせると9連休となることもあり、旅行受注も一定数伸びている。ただし、海外旅行が依然低調であることが不安要素である。
(金属製品製造業)…見積件数が若干だが増えてきている。
(一般機械器具製造業)…設備投資案件の引き合いが少しずつ出てきている。
(電気機械器具製造業)…生成AI向け高付加価値DRAM向けの設備投資に関して顧客から具体的な問合せが来ており、受注増加につながる可能性が高くなっている。
(輸送用機械器具製造業)…事業の一部に動きが出始めている。また、引き合いも増えているため、売上は上向く見込みである。

○「変わらない」
(一般小売店[酒])…お中元や夏祭りの時期までは、来客数が少ない現状のままとみている。
(美容室)…物価高騰により客の財布のひもが固くなっている。
(輸送業)…物価高騰が消費増加の妨げになっており、結果として物流量減少につながっているとみている。物価高騰の要因の1つである物流費であるが、運賃の値上げ交渉が合意に達していない企業がまだまだ多いため、今後、順次合意に達すれば更なる値上げが続くと予想される。景況感が良くなるには、まだ時間が掛かるとみている。
(広告業協会)…今年の夏も猛暑の予報が出ているため、暑さ対策、熱中症予防の広告出稿に期待したいところだが、人材不足や人件費の高騰に加え、経済状況の不安定さから広告費を縮小する企業が多いため、広告業界全体の業績は横ばいが続くとみている。
(公認会計士)…製造業の部品不足、人手不足が解消して順調に売上が伸びれば景気は良くなるが、今のところ部品不足解消のめどが立たず、売上回復の時期がみえない。この状況がもう少し続くとみられるため、全体としての景気は現状維持と判断している。
(職業安定所)…企業の採用意欲は高いが、売上増加などによるものではなく、少子高齢化による労働力不足が要因である。景気がやや停滞している状況は続くとみている。
(民間職業紹介機関)…求職者からの問合せは増加しているが、企業からの人員依頼等は増えてはいない。現状から劇的に変化することは考えにくい。

○「やや悪くなる」
(スーパー)…4月5月に賃上げがあったが、物価上昇の方が上回って、景気は悪くなるとみている。
(コンビニ)…原油価格の高騰が長く続いており、諦めムードも漂っている。定額減税に対しても景気回復の期待もなく、この先は非常に厳しいとみている。インバウンドでどれくらいカバーできるかに懸かっている。
(観光型旅館)…物価や光熱費等の上昇、社会保障費等の負担増といったマイナス要因が多いため、手控え感が出てくるとみている。
(遊園地)…賃金上昇や定額減税もあるが、物価上昇が家計に及ぼす影響がそれらを上回っているおそれがあり、先行きが懸念される。
(人材派遣会社)…求人の動きは鈍く、求職者の動きはフルタイムや土日祝日問わず働く人材が少なく、扶養内や時短勤務を希望する人が増加傾向にある。景気はマイナス傾向にある。

東北地域に関する解説は、当センターの責任でまとめたものです。  以 上

 

データのダウンロード

 

東北・新潟のキラぼし by 東北活性研 Facebook

東北・新潟のキラぼし by 東北活性研 facebook

東北・新潟のキラぼし by 東北活性研 Twitter