最新の内閣府景気ウォッチャー調査結果についてのレポートを紹介します。
令和7年2月の景気ウォッチャー調査結果(東北分)
表A-東北の現状判断(季節調整値)
表B-東北の先行き判断(季節調整値)
表C-東北の現状判断(原数値)
表D-東北の先行き判断(原数値)
調査結果の概要
1.今月のDI※
季節調整値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性 季節調整値)
現状判断DIは「43.8」と2か月ぶりで前月を下回った。前月と比較し▲3.4ポイント低下した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性 季節調整値)
先行き判断DIは「46.7」と3か月連続で前月を下回った。前月と比較し▲0.1ポイント低下した。
原数値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性)
現状判断DIは「42.2」と3か月連続で前月を下回った。前月と比較し▲0.5ポイント低下した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性)
先行き判断DIは「48.0」と2か月連続で前月を上回った。前月と比較し+1.8ポイント上昇した。
※DI(Diffusion Index)について…50を基準とし、50を超えると景気が良い方向にあることを示す。
2.調査の概要
調査期間 令和7年2月25日~28日
回答者数 172/189名、回答率 91.0% (全国1,814/2,050名、88.5%)
3.特徴的と思われる判断理由(ウォッチャーのコメントから抜粋)
(1)現状判断理由
○「やや良くなっている」
(衣料品専門店)…気温の上昇に伴い、春物のまとめ買いが多くなっている。
(家電量販店)…寒いため暖房器具が好調である。パソコンや携帯も前年比110%と伸びている。
(都市型ホテル)…インバウンドの国籍が多様化している。
(農林水産業)…米の取引価格が例年にない高値だったことにより、農業収支は大幅増益となっている。
(輸送業)…2月の売上も前年比では増収の見込みだが、利益が伴っていない。
○「変わらない」
(百貨店)…バレンタインデーや物産展などの催事のほか、化粧品やファッションの新規ショップは好調である。しかし、物価高の影響で、食品や実用品を中心に買い控えや客単価の低下がみられる。
(コンビニ)…来客数は若干減少しているが、客単価の上昇により売上は例年並みである。
(乗用車販売店)…決算セールを行っているが、販売数は例年並みである。
(住関連専門店)…マンションを購入しても家具などは新調せず、今使っているものを使い続ける人が増えている。締めるところは締めて無駄を減らしている。
(高級レストラン)…予約が低調な状況が続いている。
(通信会社)…設備投資に積極的な企業がある一方、慎重な企業も多い。
(競艇場)…来客数、売上共に変化はない。
(美容室)…客単価は6000円前後と、ここ2~3か月ほぼ横ばいで推移している。
(その他住宅[リフォーム])…住宅設備機器は石油暖房器具の販売量が増えているが、給湯器、コンロの交換は減っている。また、リフォームは屋内の修繕工事やハウスクリーニングが増えているが、積雪や気温低下の影響により屋外の大型工事が減っている。
(出版・印刷・同関連産業)…役所を中心に印刷物の発注が減っている。依頼があっても発注価格は以前より下がっている。
(金融業)…燃料油や食材の価格高騰により、家計に大きな負担が掛かっている。また、大雪の影響で、交通網や対応する行政へのストレスが増大している。
(その他非製造業[飲食料品卸売業])…食品の値上げが続いており、受注量、販売量共に前年並みで変わらない。
(職業安定所)…新規求人数は前年同月比で減少が続いているが、新規求職者数も減少が続いているため、有効求人倍率は横ばいとなっている。
○「やや悪くなっている」
(一般小売店[酒])…雪が多いため、出歩く人が少ない。
(一般レストラン)…2月は最終週の予約が少ない。来月は歓送迎会の時期になるが、今のところ予約の動きがない。
(旅行代理店)…来店客は価格重視でかつ安近短の商品を求めている。財布のひもは固く、前年秋と比べても厳しい予約状況となっている。
(その他サービス[自動車整備業])…金利の引上げにより景気に減速感がみられる。物価上昇分を販売価格や人件費に転嫁できなくなっている。
(食料品製造業)…季節限定商品の動きは良いが、それ以外の商品の動きは良くない。1品単価が下がっている。
(人材派遣会社)…求人数は前年比マイナスが続いており、マイナス幅は3か月前と比べて大きくなっている。
(民間職業紹介機関)…周辺の企業で減産による人員削減等が発生している。
○「悪くなっている」
(一般小売店[医薬品])…あらゆる商品が値上がりしているにもかかわらず、客単価は前年比95%となっている。
(その他専門店[酒])…米を筆頭に価格の上昇が続いている。消費は非常に冷え込んでおり、上向く見通しが立たない状況である。特に米価については、国が思い切った対応をしない限り収拾がつかない。
(金属製品製造業)…年度末の客先の在庫調整により、受注は例年よりも大きく減少している。
(2)先行き判断理由
○「良くなる」
(コンビニ)…気温が上昇すれば来客数は増える。また、桜の時期には外国人客が増えることが予想される。特にビザの発給要件が緩和されている中国からの観光客が増えるとみている。
○「やや良くなる」
(一般小売店[酒])…雪の影響がなくなれば多少上向く。しかし、4月にはまたビール類などの値上がりが控えており、どこまで影響を及ぼすかが不透明である。
(乗用車販売店)…新型車の発表があると聞いている。それが本当であれば、春先から夏場にかけて収益の増加が見込める。
(その他小売[ショッピングセンター])…物価上昇率と賃金上昇率に不均衡が生じているが、店舗の大幅入替えを始めとした鮮度アップの取組を行う予定であり、来客数の増加を見込んでいる。
(食料品製造業)…鉄道会社のキャンペーンにより、駅周辺店舗の売上増加が見込まれる。
(金属製品製造業)…在庫調整後の受注予測が例年を上回っている。年度末の在庫調整での減収が取り戻せるかどうかは不透明である。
(一般機械器具製造業)…量産部品の引き合いが少しずつ増えている。
(金融業)…インバウンド需要の更なる増加が予想される。季節要因による出費は落ち着く。一般家庭に賃上げの実感がようやく浸透してくるとみている。これにより消費拡大の期待が高まる。
(その他非製造業[飲食料品卸売業])…ゴールデンウィークに向けて、交流人口の増加に期待している。
(民間職業紹介機関)…直近では周辺の企業で減産による人員削減等が発生しているが、春以降に増産の話なども出ているため、景気は上向くとみている。
○「変わらない」
(商店街)…来客数が少ない状況と、価格上昇による買い控えは続くとみている。
(百貨店)…当面、客の生活防衛意識は高いまま変わらないとみている。
(衣料品専門店)…寒波の影響で客の動きが悪い。また、光熱費の増加が家計を圧迫することが考えられる。回復に時間が掛かる。
(一般レストラン)…暖かくなると景気は上向きになるが、それ以外で良くなる要素が見当たらないため、大きくは変わらないとみている。
(旅行代理店)…生活必需品や食費の高騰もあってか、余暇に関する消費は拡大傾向になく、春旅行の先行受注状況も芳しくない。卒業、入学の祝いに関連する旅に期待したいところだがなかなか厳しく、横ばいを想定している。
(建設業)…民間案件を中心に、当面は見積り作業や設計業務の先行対応が続く。受注契約に結び付くのは次年度後半になる見通しである。
(通信業)…人気機種の新モデル発売に伴い、旧機種の需給がストップし、客に提供できない状況になっている。
(職業安定所)…事業廃止や人員削減をする事業所が散見される。一方、求人数は人手不足により底堅い。
○「やや悪くなる」
(スーパー)…値上げが進み、実質可処分所得は徐々に減るとみている。
(出版・印刷・同関連産業)…印刷業界はかなり厳しく、見通しが立たない。他の広告やサービス部門でばん回するしかない。
(人材派遣会社)…求人数は前年比マイナスであり、数値は少しずつ右肩下がりになっている。
東北地域に関する解説は、当センターの責任でまとめたものです。 以 上
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