最新の内閣府景気ウォッチャー調査結果についてのレポートを紹介します。
令和6年11月の景気ウォッチャー調査結果(東北分)
表A-東北の現状判断(季節調整値)
表B-東北の先行き判断(季節調整値)
表C-東北の現状判断(原数値)
表D-東北の先行き判断(原数値)
調査結果の概要
1.今月のDI※
季節調整値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性 季節調整値)
現状判断DIは「48.4」と4か月連続で前月を上回った。前月と比較し+2.1ポイント上昇した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性 季節調整値)
先行き判断DIは「46.7」と2か月ぶりに前月を上回った。前月と比較し+0.2ポイント上昇した。
原数値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性)
現状判断DIは「45.2」と2か月連続で前月を上回った。前月と比較し+0.1ポイント上昇した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性)
先行き判断DIは「45.6」と2か月ぶりに前月を上回った。前月と比較し+0.6ポイント上昇した。
※DI(Diffusion Index)について…50を基準とし、50を超えると景気が良い方向にあることを示す。
2.調査の概要
調査期間 令和6年11月25日~30日
回答者数 172/189名、回答率 91.0% (全国1,819/2,050名、88.7%)
3.特徴的と思われる判断理由(ウォッチャーのコメントから抜粋)
(1)現状判断理由
○「良くなっている」
(衣料品専門店)…秋冬商材はようやく単価の高い物も動き出している。また、まとめ買いの客も少し増えている。
(設計事務所)…業務依頼が続いており上向いている。
(建設業)…年内の工期に間に合うよう、人手を確保し施工している。売上は前年以上に順調に推移している。
○「やや良くなっている」
(一般小売店[医薬品])…例年よりも気温が高く、天候も良いからか、来客数、売上共に増加している。
(家電量販店)…石油ファンヒーターや電気ストーブなど暖房器具を中心に販売数量が増加している。プリンターや録画機器も販売数量が増加傾向にある。
(一般レストラン)…早めの忘年会を開催する客が多くなっており、いつもより金額が高い物の注文も多い。
(都市型ホテル)…インバウンドの取り込み施策の効果が出ている。
(遊園地)…中旬まで暖かかったことに加え、大規模イベントの開催があり、来客数は前年を若干上回っている。
(輸送業)…物の動きは相変わらず増加しないが、減少は底を打った感じがある。
○「変わらない」
(商店街)…新米価格を始め物価が上昇していることから、消費者の財布のひもが固くなっており、景気は横ばいである。
(一般小売店[雑貨])…前半は気温が高く、後半になってようやく下がったため、秋物を飛ばして冬物が動いたが、前半の落ち込みはカバーできていない。
(百貨店)…リニューアル効果で来客数は伸びている。しかし、生活防衛意識の高まりにより、食品や実用品を中心に客単価の低下がみられる。また、気温が高めに推移しているため、ファッション関連で秋冬商材の動きが鈍くなっている。
(スーパー)…前月同様、特売構成比が高止まっており、利益が出しづらい状況は変わらない。客は常に安価な商品を求めており、夕方の値引き時間になると客が待ち構えている。商品の原価が上昇しているなかで、特売構成比は上がり、買上点数は減少傾向にある。
(乗用車販売店)…メーカーからの配車量が減っており、毎月同程度の台数しか売上にならない。販売台数が大きく増える状況にない。
(競艇場)…来客数は余り減少していないが、客単価が下がっており、売上が悪くなっている。
(美容室)…物価が上昇しており、客は美容に掛ける金を節約している。
(その他住宅[リフォーム])…住宅設備機器は温水ルームヒーター、省エネ型給湯器の交換、石油暖房器具の買換えが増えたが、給湯器の交換は伸びていない。リフォームは助成金効果が限定的になり、塗装や増改築の大口工事が減っている。
(農林水産業)…米は高価格で推移しているものの、肥料など農業資材の価格も高騰しているため、収益的には例年より少し良い程度である。
(広告業協会)…旅行関連と人手不足対策の広告出稿は好調だが、エネルギーや小売流通関連の主要産業の伸びが鈍く、3か月前と比較しても、広告業界全体の業績に変化はない。
(職業安定所)…物価高騰などにより求人数は減少傾向にある。
(学校[専門学校])…学校への求人内容をみても、各企業に大きな変化はみられない。
○「やや悪くなっている」
(コンビニ)…商品の値上げ分がそのまま売上の増加となっているが、来客数は前年並みである。景気は良いとはいえない。
(住関連専門店)…住宅を購入しても、インテリアなどは予算内に収まるよう優先順位を決めて購入する客が多い。見積りを見て量販店などに行く客が目立つ。
(タクシー運転手)…3か月前はタクシーアプリ利用客のほかに、街中でタクシー待ちの客がみられた。今月はタクシーアプリ利用客はいるものの、タクシー待ちの客が減っている。長距離客も減っている。
(出版・印刷・同関連産業)…物価高騰のあおりで発注見合せや競争が激しくなっており、厳しい状況である。
(金属製品製造業)…当社の主力であるカメラ業界も、それ以外の金属加工業界も良い話が出なくなっている。受注も減少傾向にある。
(金融業)…原材料や人件費等コスト高の影響から、県内企業の倒産、廃業のペースが例年以上となっている。個人消費は夏祭りシーズン以降の好調も落ち着き、米を始めとする食料品の価格高騰等によるマイナス要因が目立っている。
(その他非製造業[飲食料品卸売業])…米価が上がり、食品の値上げも続いているため、販売量は前年をやや下回っている。
(新聞社[求人広告])…これまでの求人は介護職や看護職などに偏っていたが、業種に若干広がりが出てきている。しかし、広告を掲載しても応募がなく、多くの企業から苦戦しているという声を聞く。人手不足が顕著になっている。
○「悪くなっている」
(その他専門店[靴])…降雪、積雪がなくスノーブーツや長靴などの冬物商材は必要に迫られていないため、吟味して購入する客が多い。
(2)先行き判断理由
○「やや良くなる」
(観光型旅館)…2~3月は卒業シーズンとなり人が集まる機会が増えるため、景気はやや良くなるとみている。
(旅行代理店)…当社契約宿泊施設の2~3か月先の販売状況については、前年比約2%良くなっている。
(観光名所)…12月から2月の予約状況は非常に順調である。12月は前年実績を上回る予約が入っている。1月2月は過去最高だった今年の来客数と同等の予約数が入っている。景気はやや上向くとみている。
(電気機械器具製造業)…取引先において、これまで止まっていた案件が動き出している。
○「変わらない」
(コンビニ)…地方では賃金が上がっていないことに加え、ガソリン、電気、水道の料金が軒並み上昇しており、食料品に回す金が削られている。売上が改善しない状況は続くとみている。
(乗用車販売店)…スタッドレスタイヤ等の季節商材も値上がりしているため、購入を控えたり必要最低限の購入にとどめたりする客が目立つ。車両だけでなくサービス部門の売上も前年並みをキープするのがようやくである。この状況は続くとみている。
(一般レストラン)…客から新年会は開催しないという話を聞く。
(都市型ホテル)…雪の季節になる。今年は紅葉の時期と同様に多くのインバウンドが来るとみている。
(美容室)…物価上昇分の販売価格への転嫁はすぐには難しいため、現状維持とみている。
(一般機械器具製造業)…一部の業種を除き全体的に停滞感がある。当社ではある程度の受注量を確保しているが、同業他社では仕事が少なくて困っているという話をよく耳にする。
(輸送用機械器具製造業)…一部事業に伸びはあるものの、全体を押し上げるまでは見込めず、厳しい状況が続くとみている。
(人材派遣会社)…製造業の求人の動きが鈍っている。地方ではインバウンド需要を享受している業界とそうでない業界で景況感に差が出ている。
(職業安定所)…最低賃金の引上げによりコストが更に増加するため、求人数の減少傾向は続くとみている。
(民間職業紹介機関)…周辺企業に増産の話もなく、求人数にも変化はないとみている。
○「やや悪くなる」
(商店街)…物価上昇と先行き不安で、年末年始も消費意欲は高まりそうにない。
(その他専門店[酒])…当地域では米価の異常な高騰に喜ぶ声もあるが、全体的にみると他への値上げの波及など悪影響が懸念される。今後どのようになるのか予想がつかない。
(金属製品製造業)…顧客からの長期予測データは減産傾向になっている。
(建設業)…冬場は工事案件が減少するため、年内の工事が終了すれば売上は減少する見込みである。
(司法書士)…相続登記手続は前年比2割程度増加している。一方で、売買等の登記件数は2割程度減少している。今後も売買関連需要の減少が見込まれる。
東北地域に関する解説は、当センターの責任でまとめたものです。 以 上
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