公益財団法人 東北活性化研究センター

今月の景気ウォッチャー調査

最新の内閣府景気ウォッチャー調査結果についてのレポートを紹介します。

令和7年1月の景気ウォッチャー調査結果(東北分)

表A-東北の現状判断(季節調整値)

表B-東北の先行き判断(季節調整値)

表C-東北の現状判断(原数値)

表D-東北の先行き判断(原数値)

調査結果の概要

1.今月のDI※

季節調整値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性 季節調整値)
現状判断DIは「47.2」と2か月ぶりに前月を上回った。前月と比較し+2.1ポイント上昇した。

(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性 季節調整値)
先行き判断DIは「46.8」と2か月連続で前月を下回った。前月と比較し▲0.4ポイント低下した。

原数値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性)
現状判断DIは「42.7」と2か月連続で前月を下回った。前月と比較し▲1.4ポイント低下した。

(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性)
先行き判断DIは「46.2」と2か月ぶりに前月を上回った。前月と比較し+1.5ポイント上昇した。

※DI(Diffusion Index)について…50を基準とし、50を超えると景気が良い方向にあることを示す。

 

2.調査の概要

調査期間 令和7年1月25日~31日
回答者数 171/189名、回答率 90.5% (全国1,823/2,050名、88.9%)

 

3.特徴的と思われる判断理由(ウォッチャーのコメントから抜粋)

(1)現状判断理由

○「やや良くなっている」
(スーパー)…年明け以降、買上点数が僅かに増加している。特に組合せ商品の販売が好調に推移している。
(その他住宅[リフォーム])…住宅設備機器は給湯器、コンロの交換工事、石油暖房機器の買換えが増えている。リフォームは大口の工事が増えている。害虫駆除やハウスクリーニングも増えている。
(食料品製造業)…初売りは天候に恵まれ好調だったが、第2週は動きが悪くなり、一時前年を割っている。第3週からは動きが良くなり、前年をクリアできる水準となっている。

○「変わらない」
(商店街)…来街者数は増加しているが、店舗の売上は横ばいが続いている。物価高騰の影響を受けている。
(コンビニ)…緩やかに悪くなっている状況は変わらない。物価の上昇により、コンビニの利用方法が変わってきている。
(旅行代理店)…当社契約宿泊施設の先行2か月の販売額は、3か月前と比較して0.7%良くなっている。
(設計事務所)…事業の拡張に関連する問合せはあるが、商談に至る件数に変化はない。
(電気機械器具製造業)…取引先に大きな動きはあったが、直近の取引に大きく影響を与えるものではなかった。
(広告業協会)…人手不足による採用関連の広告出稿は好調だが、原材料価格の高騰や人件費増加の影響で、広告費を抑制している企業も多い。業界全体としては消極的な状況が続いている。
(人材派遣会社)…求人の動きを見ると、あらゆる業種、業界で人手不足が続いている。
(職業安定所)…求人数は多いが、労働者の高齢化に伴う若年者雇用の求人がほとんどであり、増員や増産のためのものは少ない。また、原材料価格の高騰等を価格転嫁することが厳しいことから、雇用調整の動きも出ている。
(学校[専門学校])…求人の数、内容共に例年と変わらない。

○「やや悪くなっている」
(一般小売店[酒])…雪が多く道路事情が悪いため、来客数が少なく暇な時間が多い。
(百貨店)…初売りは食料品の福袋を中心に好調に推移した。一方、セレモニースーツや節句人形など春に向けた季節商材は少子化や物価高の影響を受け、出遅れている。
(家電量販店)…初売り終了後は販売量、来客数が大幅に減少している。特に季節商材は売上数量、単価が前年と比べても下がっている。新生活需要も例年は1月下旬から増加傾向になるが、今年は少ない。
(乗用車販売店)…新規来客数、新車・中古車受注、サービス売上など全てで前年比8~9割となっており、ここ数か月で1番の落ち込みである。客の話から、新車価格の高騰、ガソリン価格の上昇による消費マインドの低下を肌で感じている。
(その他専門店[ガソリンスタンド])…燃料油価格激変緩和補助金の縮小により販売単価が大幅に上昇したため、客の節約志向が一層強くなっている。
(一般レストラン)…3か月前の来客数は前年比102%数だったが、今月は同98~99%である。
(観光型ホテル)…物価高が続くなか、ガソリン価格の上昇の影響もあってか、来客数は少ない。
(通信会社)…大雪により、除排雪が中心の生活になっているため、放送通信サービスの新規加入者数の増加にブレーキが掛かっている。ただし、自宅での生活時間が増えたため、解約は大幅に減っており、加入者数は純増を維持している。
(美容室)…来客数は前年比95%で推移しているが、常連客のリターン率は前年比90%と低迷している。客の財布のひもは固くなっている。
(出版・印刷・同関連産業)…自己破産や民事再生の手続に取り掛かる取引先、同業者が出ている。後継者がいない高齢の経営者が、事業停止に向けた準備に入っている状況も確認している。業界の環境を考えるとやむを得ない。
(金属製品製造業)…11月にあった中国の独身の日セールが不発だった影響で、取引先が在庫調整をしているため、全体的に受注が減少している。
(輸送用機械器具製造業)…半導体関連の受注見込み情報の減少により、受注売上が未達となっている。また、電子デバイス関連での受注確定件数の減少もあり、全体的に動きが良くない。
(金融業)…賃上げが浸透していないなかで、物価高が影響し、一般消費の動きは鈍い。また、近年まれにみる大雪が経済活動に少なからず打撃を与えている。

○「悪くなっている」
(一般小売店[雑貨])
…新年だからといって購買意欲が高まることはなく、正月らしい盛り上がりもなかった。物価高やガソリン価格の高騰、天候不順といった要因により、来客数の減少が止まらない。

 

(2)先行き判断理由

○「良くなる」
(農林水産業)…いちごなどの需要は多い。また、卒業、受験など祝い事があるため、果樹の需要も増える。
(金融業)…例年、春先は景気が上向く。また、中小企業の賃上げと、それに伴う価格転嫁の動きの浸透にも期待している。

「やや良くなる」
(商店街)…雪が落ち着き、暖かくなると徐々に人が出始める。
(一般小売店[酒])…雪が解けて道路事情が良くなることに加え、飲む機会が多い時期になるため、販売量は増えるとみている。
(コンビニ)…今後も物価上昇が続くとみている。また、気温上昇により人の動きが活発になることで、来客数が増加することも期待している。
(人材派遣会社)…来期の採用計画が出てきたこともあり、求人数は堅調に増加している。また、今期の採用計画の達成に向けて、採用の動きなどが出てくることも見込んでいる。
(民間職業紹介機関)…取引先企業で増産の話があり、人材提供の要請が増えている。

○「変わらない」
(百貨店)
…コト消費は活発になっていく。一方、物価高による節約意識のもと、モノの消費は更に鈍っていくとみている。高額商品の動向に期待したい。
(家電量販店)…決算、冬物の処分、新生活等による売出しが多くなるとはいえ、少子化や温暖化の影響で、販売量が多くなることは考えられない。
(その他小売[ショッピングセンター])…4月以降の賃金上昇幅も不透明である上、原材料価格高騰などの改善が図られる見込みもないため、引き続き、客の財布のひもは固いとみている。
(テーマパーク)…来館率、買上率共に上がらない。客が手にとる商品は低単価なものが多い。物価上昇もあり、景気が良くなる雰囲気はない。
(食料品製造業)…物価高の影響で、客単価が落ちている。2月から製品を値上げするが、どのような影響が出るのか予測がつかない。
(建設業)…物価は上昇しているが、価格に織り込み済みである。
(職業安定所)…人手不足ではあるが、原材料、エネルギー、人件費等のコスト増加の影響で求人を控える企業もあるため、求人数の増加は見込めない。

○「やや悪くなる」
(乗用車販売店)
…オーダー停止中の車は夏頃まで生産が見込めず、販売できないため、しばらくは低迷が続くとみている。
(設計事務所)…新年度になり新規発注の時期となるが、資材高騰、工期の長期化は変わらないため、予算超過しないように発注件数を絞らなければならないという話を官民問わず耳にする。受注件数の減少に直結するため、景気は悪くなるとみている。
(出版・印刷・同関連産業)…前月末で事業継続を断念し、精算に向け準備している同業者、取引先が発生している。これから更に厳しさが増すことが予想される。
(司法書士)…金利上昇の影響を受けるとみている。
(コピーサービス業)…政策金利の引上げが、景気に水を差すことを懸念している。

○「悪くなる」
(その他住宅[住宅展示場運営会社])
…金利の引上げにより、来場者数及び成約数は減少するとみている。

東北地域に関する解説は、当センターの責任でまとめたものです。  以 上

 

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